風景と照明

2026.06.29 インテリア NEW

作成者:古屋 尚弥

気温とともに湿度も上がり外に出ることも憚れる。
徐に心地のよい空間に足が運ばれる。
慣れ親しんだ地山の風景、温かみのある自然素材の天板と床板。
自然光に照らされる珪藻土の模様。照明により際立つ杉の板目。
すべてを照らすことよりも陰影をつくり出すことで心の豊かさにつなぐ。

まさに陰翳礼讃。
谷崎潤一郎が日本の伝統と感性をとらえた美しい言葉。
隅々まで煌々と照らすのではなく、あえて暗がりや影をつくり出すことで
想像力を働かせることこそが日本ならではの贅沢であり、心の豊かさである。

文化そのものに対して警鐘を鳴らした言葉であるため、
建築にすべてが通ずるかはわからない
ただ、納得することはできる。

影を愛でる日本文化に根付く感性をとらえているため、自然と腑に落ちる
わびさびなどに近いものかもしれない。

自然と心地よいと感じる。徐に足を運ぶ。
そんななんでもない空間がどこかにある。
どこかの部屋かもしれない。あるいはある場所なのか、時間なのか。

土地を捉えて、設計をする。
お庭と一緒にそんな空間を創り出すのか。
あるいは、元あるものを使い、記憶と共に心地よさを演出するのか。
そんな情緒に触れることができるお家作りをしていく。