お庭に命を吹き込むとき

2026.05.21 エクステリア NEW

作成者:古賀 千夏

一本の樹木をどこに、どの角度で据えるか。このわずかな差が「お庭」の完成度を決定づけます。先日、お施主様と共に阿蘇の生産者様のもとへ足を運び、数ある樹木の中からこれから共に暮らす一本を選び出しました。育った環境を知り、自ら吟味して選ぶ体験は、完成後への期待をより深めるものとなります。

さらに今回は、現場での植栽作業にもお施主様に同席していただきました。私たちが最も重視するのは、樹木が持つ表情を読み解き、「最良の面」を引き出すことです。樹木は一本ごとに枝の張りも幹の曲がりも異なります。ただ図面の位置に置くのではなく、室内からの景色や外からの見え方を確認しながら、現場で数センチ、数度単位の調整を繰り返します。

「もう少し右へ」「この角度が美しい」と、お施主様と一緒に視線を交わしながら最良の面を探る時間は、庭造りの醍醐味と言えます。室内でリラックスしている時、キッチンに立った時、どう見えているか、光の受け方や風の流れを読み、建築とのバランスを多角的に検証する。この緻密な作業を経て、ようやく「お庭」に自然な調和が生まれます。そうして魂を吹き込まれた木々は、単なる建物の引き立て役ではなく、住まい手と共に成長していくかけがえのないパートナーとなります。

窓を開ければ季節の香りが室内へと流れ込み、目にする葉の色で四季の移ろいを感じる。そんな四季の息吹を五感で楽しむことが生活の一部となり、お庭と共に歳を重ねる。

新緑の季節、お庭に出て深く呼吸をしてみませんか。