「心地よい暮らし」への探求
2026.05.14 建築 NEW
皆さんが家に求めるものは何ですか?私は、どこよりも心地よいと感じる空間であってほしいと願っています。少し飛躍しますが、「心地よさ」こそが住処に求められる絶対的な条件だとさえ考えています。
広く、明るく、天井が高く、手入れが容易な家。それが求められがちな昨今ですが、それは心地よさを生む一つの手段に過ぎず、目的ではありません。私たちが本当に求めるべきは、家に帰った途端にふっと肩の力が抜け、そこからもう動きたくなくなるような、自然と「ホっ」と一息漏れてしまうような空間を創出することです。

その為には、生物的というべきか人間的というべきか、日本人的というべきか、どこか遺伝子レベルで「心地よい」と思える要素を理解するべきだと考えるわけです。もちろん、広く開放的で明るい空間がダメだとは言いません。そうあるべき空間だってあるはずです。ただ、むしろ暗がりや狭さ、陰影にこそ、どこか懐かしいような安心感や心地よさを感じてしまいます。
例えば、魅力的な景色だけを切り取るよう、あえて小さく穿たれた窓。室内の深い影が、その風景を一層掻き立てます。あるいは、静かな壁を背景に佇む植物。背景があることで陰影は色濃くなり、壁にうごめく葉の影に思わずうっとりとさせられるのです。これらの心地よさは、物体そのものに宿るのではなく、物と物が織りなす関係性と陰影の中にこそ存在しているように思われます。

だからこそ素材の美学を大切にしながらも、その先にある「関係性が紡ぐ美しさ」を紐解き、自然と「ホっ」と一息漏れてしまうような情景を、日々の暮らしの中に作っていく。その為にも様式にとらわれず、色んな建築に触れていきたいと思います。