和とお庭

2026.01.15 建築

作成者:古屋 尚弥

寒さで手足に痛みすら覚えるほどの時節。
今は、履物などをはいて床と隔てて寒さを和らげる。
床からの距離が少しずつ離れてしまう。もったいない。
素材の触り心地や保温性を懸念してなのか、あるいは潜在意識の中で床を拒絶しているのかもしれない。

元々、「たたむことができる」敷き物で主に寝具として使用された、自然の藺草で作られた畳(ござ)。その調湿・断熱効果が高温多湿の日本の気候風土に適していた。
明治時代以降、欧米文化の流入に伴い椅子座やソファが増え、床に座ることが格段に減った。
それに伴い畳を使うことも少なくなってしまった。文化の変化であるため、悪いことではないが、少しもったいなく感じてしまう。

床に座ることで、視線はいつもより下を向く。
床の自然素材の畳。壁の珪藻土。名栗で作られた飾り棚。低く取り付けられた窓。その先に見える樹々。
そのどれもが、つながって見える。樹々に降った雨粒さえ美しい。
昔の人々が、床に座り外を眺め、時間を過ごしていたことはとても理にかなっていた。

暮らしの中で、過ごす時間は短い場所かもしれない。しかしいつも視線に入る場所。
暮らしづくりの中で、重きをおくものは人それぞれ違いがある。
故きを温ねて新しきを知る。お家づくりの中で、五感に響くものを提案していきたい。