同時設計だからこその灯り

2025.11.29 インテリア NEW

作成者:田中 由起子

「ただいま」
夕暮れ時の帰宅、我が家の漏れ灯りに思わず声がこぼれてしまう。

府内町家の漏れ灯りは、キャンドルのように温かみがあり、どこか心地よい。
まるで「今日も一日お疲れ様」と語りかけてくれるようで、一日の疲れが優しく消えていく。

だから、あえてすぐには家に入らず、少し離れた所から我が家を眺めたくなることがある。

ふと気づくと、この灯りは通りを歩く人にとっても心地よい街灯りになっているのではないかと感じる。

府内町家の窓からこぼれる柔らかな灯りは、板塀や庭の木々に陰影を生み、家の佇まいに落ち着いた表情を与えてくれる。
さらに、その灯りは街並みにもそっと寄り添い、景色を温かく包んでいるように感じる。

こうした灯りの雰囲気は、照明計画の工夫ひとつで大きく変わる。
灯りの色、明るさ、照らす方向、窓から漏れる量…。
府内町家は、小さな工夫で暮らしの質と景観の雰囲気を大きく変えていく。

灯りは、ただ「照らす」だけの存在ではなく、人の気持ちに寄り添い、住まいと街の表情をつくる大切な役まわりなのかもしれない。

我が家の灯りが、誰かの帰り道をほんの少し優しくしているかもしれない。
そう思うと、灯りの役まわりが、いっそう大切に感じられる。

府内町家では、家と庭とインテリアを同時設計し、トータルデザインすることを大切にしている。
同時設計だからこそ生まれる温かさや、灯りの心地よさをこれからも引き出していきたい。

一日の終わりに「ただいま」と言いたくなるのは、こうした家全体のデザイン、灯りの工夫、そして同時設計のおかげかもしれない。