時代、生活スタイルで変わってきた「玄関」

2025.11.11 建築

作成者:中須賀 めぐみ

家の顔とも言われる玄関。その起源や時代背景、世界と比べることで今まで知らなかったことが見えてきてきました。

まず、玄関という言葉。禅宗の言葉「玄妙なる道に入る関門」が由来となっているようです。つまり仏門に入る入口です。玄関という言葉が伝わったのは日本では鎌倉時代。そして室町時代に入り書院造りという建築様式が生まれ、公家や武士の屋敷に取り入れられたそうです。「仏門の入口」とあるように、玄関は神聖な場所、格式のシンボルであった為、明治に身分制度が廃止されるまで庶民が作ることを許される場所ではありませんでした。

玄関の扉についても調べてみました。日本では古くから引き戸が多く用いられてきましたが、現在は開き戸が主流となっています。この写真にある片島モデルも開き戸が使われています。何の違和感も持たずに扉を開けていましたが、日本の多くの扉は外開きなのです。しかし、世界では外開きはマイナーなのです。海外の多くの扉は、防犯上の観点から内扉が主流となっています。また内開きには、人を迎え入れるという意味合いが含まれている為内扉が多いとも言われています。

では、どうして日本は外開きが主流なのでしょうか。それは、家に上がる際に靴を脱ぐ習慣がある事が大きいと考えられます。内扉だと扉が開くスペースがまず必要です。脱ぎ履きをする際も扉があることで不便さを感じます。外扉であれば、雨や台風の日でも外からの雨や汚れを防ぐこともできます。そして地震の際に避難経路を確保するのに有利な作りでもあるようです。

明治期に西洋文化を取り入れ始めた頃は内扉が多く作られた時期もあったようですが、日本の生活において内開きはとても生活がしづらく、当時は鍵をかけない家も多くそんな治安の良さから「防犯」より「使いやすさ」を重視し、今の外開きが支流になっていきました。

日本の玄関には内と外とを分ける段差に取り付けられた横木「上がりかまち」があるのも特徴です。近年は、老後や介護の面からバリアフリーの玄関も多くみられますが、この段差があることによって、湿気や外からの汚れを防ぐ事が出来ます。湿気の多い気候の日本だからこその作りですね。家と外との境界線に段差があることから、日本では「家に入る」ではなく「上がる」という言葉が生まれたのではないでしょうか。

昔は、限られた身分の人しか作ることの出来なかった玄関ですが、世界の文化と交わり、日本の気候や生活習慣を取り入れて日々進化しているのが分かりました。何気なく過ごしてきたお家の玄関、見え方が変わってきませんか。