照らすものと照らされるもの
2025.07.29 インテリア NEW
空間に明かりを照らし、住み手に心地よさを提供する。
照明器具の存在は、その使命にとって極めて重要である。
人間は、情報の約8割を視覚によって得ていると言われているが、住空間に対しても同様なことが言えるであろう。
照明器具は、住空間を照らすことでその役割を全うする。
そして我々は、そこに光が灯されることで、空間を認識し、空間を評価する。
もちろん、音や感触も空間を認識するための重要な要素であることに違いないが、光に照らされることで目に映った空間をもとに「美しい」「素敵だ」と感じる経験をした人も数多くいることだろう。
住空間は、照らされることで我々の感性を刺激するのだ。

「照らすもの」と「照らされるもの」
すなわち、「照明器具」と「住空間」
これらは決して切り離して考えることのできない、互いに不可欠な関係である。
全く同じ図面から出来上がった空間も、照らし方ひとつ変えるだけで、我々に与える印象は大きく異なる。
府内町家がつくり出す空間、そして住み手各々の暮らしにふさわしい照明器具を適切に選定し、配灯することで、空間の魅力をより一層引き上げることができる。
だからこそ「府内町家」では、家と照明を同時に設計する。
実は当たり前で単純明快なことなのだが、これがまた奥深く、難しく、おもしろい。
なぜなら、照らし方に正解など存在しないからである。
そもそも人間が心地よいと感じる空間は、人それぞれであることも確かだ。
少なくとも私は、府内町家に魅了された一人間として、同じく府内町家の世界観に少しでも共感してくださった方々に、空間の心地よさ・美しさを感じてもらえるよう、励んでまいります。
新入社員 黒木